NISOC勉強会 - 地上デジタル放送の表裏†
2006年 10月 14日
川俣 吉広
今年は地上デジタル放送開局ラッシュの年です。
ここ新潟県でも今年に入り4月から3局、10月に2局、つまり全ての局が地上デジタル放送の本放送を開始し、
今年度中に県内9個所の中継局も運用を開始する予定となっています。
本稿では、普及を初めつつある地上デジタル放送について、
どのような特徴があるのか、また従来のアナログ放送と比べてどのような点が違っているのかを
見てゆくこととします。
地上デジタル放送の目的†
- 放送の高度化
従来映像と音声を送り出すだけだったテレビ放送に様々な付加機能を付け加える
... 高画質/高音声品質 多サービス(まだら編成/ワンセグ) EPG データ放送 字幕 EWS 臨時サービス など
- 電波の有効利用
放送に必要なチャンネル数を減らし、他業務(携帯電話など)に割当
- アナログ: VHF 1ch〜12ch, UHF 13ch〜62ch
- デジタル: UHF 13ch〜52ch
- SFN*1 ... 中継局で送信と受信をおなじチャンネルで行う
テレビとは†
システムとしてみると、映像と音声の「切替え」、「伝送」が2大要素(別紙参照)。
- 映像・音声の切替え
- 人間がやる方法 → 生番組でのカメラ/VTRの切替え、音声ミキサーなど
- コンピュータによる制御 → それ以外ほとんど全て
EDPS(編成情報、CM情報の管理) → APC (放送機器の制御) → 放送機器
- 映像・音声の伝送
- 直接線で繋ぐ
- 電波にして飛ばす*2(FPU、SNG、放送波)
- 他所にお任せ(NTT, KDDIなど)
これらの方法を適材適所で組合せて運用
アナログ放送†
- どうやって一本のケーブルや一つの電波で
- 三つの色(RGB:色の三原色)
- ステレオや2ヶ国語の音声
を送るのか?*3
- アナログとの違い
... 信号の「切替え」、「伝送」に加え「符号化」と「多重化」を行う
- 映像はSDI、音声はAES/EBU ... 「地デジ」以前から普及
→ これを圧縮・符号化 ... ストリーム
- その他沢山の管理情報(EPGやデータ放送も)
→ セクション
- ストリームとセクションを多重化(一本化) → TS*5
...188バイト単位のパケットに分割して順次送出
- 変調 - OFDM*6方式
- 情報を沢山のキャリア(搬送波)を使って同時に送る。電波を用いた「パラレル伝送*7」
- (例)432キャリア×13セグメント=5617キャリア
- 多数のキャリアに分けることで一キャリアあたりの伝送速度が小さくなる → 障害に強い。
Inside DTTV†