*アンテナ入門 [#y8936451] 現在、電波を用いる機器はテレビ、ラジオ、携帯電話、WiFi ... など身近にも沢山あるが、そのすべてにアンテナがついている。アンテナには様々な大きさ・形状のものがあり、また、電波が目に見えないこととも相まって、アンテナがどのような原理で動作しているのかを直感的に理解することは難しい。 この勉強会では、実例を交えながら以下のことについて見てゆく。 -電波とは何か、どのように伝わるのか -アンテナはどのように動作するのか -アンテナを特徴づける性質にはどのようなものがあるか -使用目的に対して、どのようなアンテナが使われるのか ---- #contents #aname(whatsradiowave) ** 電波とは何か [#ia3be62f] イギリスの物理学者マクスウェルは、1864年にそれまで知られていた電気・磁気に関する現象を統一的に記述できる4つの方程式を提唱した。 |>|>|CENTER:マクスウェルの電磁方程式|h |∇・'''''D'''''('''t''', '''''x''''') = ρ('''t''', '''''x''''') | 電荷のまわりに電界が発生する |クーロンの法則| |∇・'''''B'''''('''t''', '''''x''''') = 0 | 磁気はN極、あるいはS極だけの単独で存在しない |磁気単極子の非存在| |∇×'''''E'''''('''t''', '''''x''''') = −d'''''B'''''('''t''', '''''x''''')/d'''t''' | 磁界が変化すると電界が発生する |ファラデーの法則| |∇×'''''H'''''('''t''', '''''x''''') = ρ('''t''', '''''x''''') + d'''''D'''''('''t''', '''''x''''')/d'''t''' | 電流、そして''電界の変化''とで磁界が発生する |アンペールの法則+''変位電流''| マクスウェルは、4番目の式で「変位電流」と呼ばれる概念を導入した。何もない空間に変位電流が流れていると仮定すると、様々な電磁現象を矛盾なく説明することが可能になる。 そして、3番目の4番目の式を組み合わせると電界の変化と磁界の変化が波動として伝わってゆくことが示される。これが電波(電磁波)である。 電波が発生する様子を図示すると以下のようになる。 |CENTER:電波の発生| |&ref(E-H.png,,50%);| |CENTER:&color(red){''→'' 磁界}; &color(blue){''→'' 電界};| 発生した電波のうち、右方向に進むものだけに着目すると、下図のようになる。 電界、磁界共に進行方向と直角の成分を持つことから、電波は横波であることがわかる。また、電界と磁界も直交している。 |CENTER:右方向に進む電波| |&ref(Wave.png,,50%);| |CENTER:&color(red){''→'' 磁界}; &color(blue){''→'' 電界}; ''→'' 進行方向| 1888年、ドイツの物理学者ヘルツが実験によって電波の存在を確認し、これ以後の電波技術発展の基となった。 参考: [[Radio wave (Wikipedia:en)>https://en.wikipedia.org/wiki/Radio_wave]] #aname(characteristics) ** 電波の特性 [#ia3be62f] 電波は以下のような性質を持つ。 :速度|約30万km/s((正確には、真空中で299792458m/s))。 :波長|電界(又は磁界)が一周期ぶんの間に進む距離。~ 一秒間に電界又は磁界が何周期変化するかを周波数と呼ぶ。周波数から波長を知るには以下の関係式がよく使われる。 ~ |波長[m]=300/周波数[MHz]| ~ 以下に周波数と波長の例を挙げる。 |>|>|>|CENTER:周波数と波長の例|h |CENTER:用途|CENTER:周波数|CENTER:波長|CENTER:伝搬形態|h |LEFT:|RIGHT:|RIGHT:|CENTER:|c |[[電波時計 (福島)>http://jjy.nict.go.jp/jjy/log/index.html]]| 40kHz| 7.5km|地表波(地表(導体表面)に沿って伝搬)| |AMラジオ ([[BSN>http://www.ohbsn.com/]]) | 1116kHz| 269m|地表波、空間波(電離層で反射)| |短波放送 ([[ラジオNIKKEI>http://www.radionikkei.jp/]])|6.055MHz| 49.5m|空間波| |FMラジオ ([[FM PORT>https://www.fmport.com/]]) | 79.0MHz| 3.8m|直接波(見通し範囲内)| |テレビ ([[TeNY>https://www.teny.co.jp/]]) | 550MHz|54.5cm|~| |GPS (民生用) |1.575GHz| 19cm|~| |携帯電話 (Band1) | 2.1GHz|14.3cm|~| |WiFi (801.11a/n/ac) | 5GHz| 6cm|~| |雨雲レーダー ([[国交省 XRAIN>http://www.river.go.jp/x/xmn0107010.php]])| 9.4GHz| 3.2cm|~| :偏波|電波は進行方向に対して直角に電界あるいは磁界のベクトルが発生するが、このうち電界ベクトルの方向を偏波と呼ぶ。~ 前項の説明では電界は上下方向に発生しているので垂直偏波となる。 ** 半波長ダイポールアンテナ [#t5031af2] 半波長ダイポールアンテナは電波の発生機序をそのまま実現した基本的なアンテナで、現在使われているアンテナの大部分はこのダイポールアンテナを基礎としている。 ダイポールアンテナは、1/4波長の長さを持つ棒状の素子が給電線の先端に2つ取り付けられている。2つの素子は直線上に配置され、素子間は絶縁された構造となっている。 |CENTER:半波長ダイポールアンテナ| |&ref(Dipole.png,,50%);| |RIGHT:L=波長((一般に波長のシンボルとしてはギリシア文字のλを使うが、作図ソフトの関係でLで代用している))| |CENTER:例: [[海岸局>アンテナ入門/01_Maritime#suikai]]| このアンテナから電波を送信している時の電流は中央部で最も大きく、逆に電圧は先端部で最も大きい。~ このような動作をするアンテナを「共振型アンテナ」、または「定在波アンテナ」と呼ぶ。共振型アンテナは特定の波長で能率よく動作する((実際には半波長ダイポールアンテナの全長は半波長の96%ほどで共振するが、この勉強会では簡単のため半波長ちょうどとして考えてゆく))。 |CENTER:電流・電圧分布| |&ref(Dipole-VI.png,,50%);| |CENTER:COLOR(blue){━ 電流} COLOR(red){━ 電圧}| ** アンテナの諸特性 [#a1645c02] アンテナには様々な特性があり、それらがアンテナの性能を把握する上での要素となる。~ 以下にダイポールアンテナを例にとり、それらの特性を説明する。 :指向性|一般にアンテナは、方向によって電波を放射する強度(あるいは受信信号の強度)が異なり、これを指向性と呼ぶ。指向性を利用することで、特定の方向からの電波を選択的に受信したり、不要な電波を受信しないようにしたり、あるいは電波の到来方向を検知したりできる。~ ダイポールアンテナの場合、指向性は素子と垂直の方向が最も強く、素子方向がゼロになる。3次元でみるとドーナツ状の指向形状となる。 |CENTER:ダイポールアンテナの指向特性| |&ref(Dipole-dir.png,,50%);| :利得|前項で説明したようにアンテナは指向特性を持つが、全ての方向に同じ指向性を持つアンテナと比べた場合の強度比を利得と呼ぶ。~ アンテナの利得を上げるには指向性を鋭くする。指向性が鋭くなるほど利得が上る。~ 利得を上げるには以下のような方法がある。 --単体で高い利得を持つアンテナを使用する --アンテナの前後に補助的な素子を追加する --指向と逆方向に導体を置き、電波を指向方向に反射させる --アンテナを複数配置し、それら全てに給電する (アレイ、スタックなどと呼ぶ) :負荷インピーダンス|送信機や給電線からアンテナをみると、アンテナを通常の電気回路で近似することができ、これを等価回路と呼ぶ。~ ダイポールアンテナは、L(コイル)、C(コンデンサ)、R(負荷抵抗)が直列につながった回路とみなせ、この回路の持つ値を「負荷インピーダンス」という。通常の電気回路ではRで消費されたエネルギーは熱になるが、アンテナの場合は電波となって空間に放射される。 |CENTER:ダイポールアンテナの等価回路| |&ref(Dipole-Equiv.png,,50%);| ダイポールアンテナが共振状態の時、LとCは打消しあって、Rのみが存在している状態と等価になる。~ 共振状態のとき、かつ、給電線の特性インピーダンスZとアンテナの負荷抵抗Rが等しい場合を「アンテナが整合している」といい、最も効率よく電波が放射される。~ 整合時のダイポールアンテナの負荷抵抗は約73Ωである。 |CENTER:ダイポールアンテナの等価回路(共振時)| |&ref(Dipole-EquivTuned.png,,50%);| |RIGHT:f=1/(2*π√LC), Z=Rで整合| アンテナが整合していない場合、送信機から送り出されたエネルギーの一部がアンテナから送信機に戻って来る。これは不具合の原因となる。 :帯域幅|ダイポールアンテナのような共振型アンテナの場合、周波数を共振周波数から変えてゆくと次第に整合が取れなくなり、ある周波数で使用不能になる。~ 共振周波数を中心とした、アンテナが使用可能な周波数範囲をアンテナの帯域幅という。~ ~ アンテナの種類によって帯域幅は変ってくるが、複数の周波数を使用する場合や高速の通信を行う場合は帯域幅が広いほうが望ましい。 :偏波|[[電波の特性>#characteristics]]で説明した偏波は、アンテナの種類によって決まってくる。~ ~ 偏波は送信アンテナと受信アンテナで合せる必要がある。~ 偏波が合っていないと、受信強度が低下する。特に送受が直交していると受信できなくなる (逆に、混信を防ぐためにこの性質を利用することもできる)。 :アンテナの可逆性|アンテナの動作は本質的に可逆である。~ 今まで説明したアンテナの諸特性は、送信時・受信時ともに同一であると考えてよい。 ~ このことが一本のアンテナを送信にも受信にも使うことを可能にしている((但し、アンテナの直下に増幅や変換の回路が挿入されていたり、極端に損失の多いアンテナを使用する場合はその限りではない))。~ ** 色々なアンテナ [#s5a1ab8e] アンテナの種類は非常に多いが、その中の大部分を占める共振型のアンテナについては、最初に説明した半波長ダイポールアンテナの変形として考えることができる。 これらのアンテナはそれぞれ特徴を持ち、実際に使用する用途に適した特徴のアンテナが選択される。 また、性能向上のためや、運用上発生する制約に対応するために基本的なアンテナにアレンジを加えたり、数種類のアンテナを組み合わせて使用する場合も多い。 *** モノポールアンテナ [#uac871e5] モノポールアンテナはダイポールアンテナを半分にしたもので、下図に示すように給電線の片方に1/4波長の素子を接続し、もう片方の給電線を接地(無限大の大きさを持つ平面導体に接続)するなどして使用するものをいう。 |CENTER:1/4波長モノポールアンテナ| |&ref(Monopole.png,,50%);| |RIGHT:L=波長| モノポールアンテナの電圧・電流分布や指向特性はダイポールアンテナと同等、負荷インピーダンスは半分の約36Ωとなる。 |>|CENTER:波長モノポールアンテナの特性| |&ref(Monopole-VI.png,,50%);|&ref(Monopole-dir.png,,50%);| |CENTER:電圧・電流分布: COLOR(blue){━ 電流} COLOR(red){━ 電圧}|CENTER:指向特性| |&ref(Monopole-Equiv.png,,50%);|| |CENTER:等価回路|~| 垂直に設置したモノポールアンテナは水平方向に最も利得があり、方角で見ると無指向性である。このため、移動体通信や同報、放送などの用途によく用いられる。また、構造がシンプルなため携帯機器でも多く採用される。 -モノポールアンテナの例 - [[中波ラジオ放送所>アンテナ入門/03_Broadcast#nhk-r]]、[[DGPS局>アンテナ入門/01_Maritime#shiriya]] *** 1/4モノポールアンテナのバリエーション [#j587b7b5] アンテナを設置する場合、サイズが大きくなりすぎる、必要なスペースが確保できない、接地が確保できない、などの制約が課せられる場合がある。~ このような問題に対応するため、以下のような方法が考案されている。 ~ -素子の短縮 --容量環や装荷コイルの挿入、かご型素子を用いる、などの方法で素子長を短縮する |>|>|CENTER:素子の短縮| |&ref(TopHat.png,,70%);|&ref(LoadingCoil.png,,70%);|&ref(BirdCage.png,,70%);| |CENTER:容量環&br;例:[[中波ラジオ送信所>アンテナ入門/03_Broadcast#tophat]]|CENTER:装荷コイル&br;例:[[船舶局>アンテナ入門/01_Maritime#MF2182]]|CENTER:かご型素子| ~ --素子を途中で折り曲げる |>|CENTER:素子の変形| |&ref(InvertedL.png,,50%);|&ref(T.png,,50%);| |CENTER:逆L型アンテナ&br;例: [[海保航空基地>アンテナ入門/02_Aviation#Ltype]]|CENTER:T型アンテナ| 逆L型アンテナは高さを抑えることができるので、携帯機器にも使用されている。この場合、基板のアース部分を接地とし、基板上に直接実装することができる。 ~ -接地面の代替~ 地上で電波の到達距離を稼ぐには、アンテナを地上高く設置する方法があるが、そうすると接地を取るのが困難になる。~ このような場合は、接地面(Ground Plane: GP)の替りの構造を持つアンテナを使用する。 |>|>|CENTER:接地面の代替| |&ref(Brown.png,,70%);|&ref(Sleeve.png,,70%);|&ref(htype.png,,70%);| |CENTER:ブラウンアンテナ|CENTER:スリーブアンテナ 例:[[海保航空基地>アンテナ入門/02_Aviation#Ltype]]|CENTER:h型アンテナ| -利得の向上~ 水平方向の指向性を鋭くすることでも地上での到達距離を増やすことができる。~ 5/8波長アンテナは、上空への放射が少なくなる代わりに、水平方向の放射が多くなるよう改良された垂直アンテナである。~ コリニアアレイアンテナは、同軸構造を数段積み重ねて水平方向の指向性を鋭くしている。コリニアアレイアンテナという名前が示すように、このアンテナはアンテナアレイの一種と考えられる。 |>|CENTER:利得の向上| |&ref(L5_8.png,,70%);|&ref(Colinear.png,,70%);| |CENTER:5/8波長アンテナ&br;コンデンサを挿入し、整合を取る|CENTER:コリニアアレイアンテナ&br;例:[[放送局本社>アンテナ入門/03_Broadcast#bsn-hq]]| *** 一波長ループアンテナ [#e05ac5d3] 一波長ループアンテナは1波長の長さの素子を円形にし、素子の両端に給電線を接続したものである。~ 素子の形は必ずしも円形である必要はなく、方形等であってもよい。 このアンテナを上下2分割してみると、1/2波長ダイポールアンテナをスタックしたものと考えることができる。 |CENTER:1波長ループアンテナ| |&ref(Loop.png,,70%);| |CENTER:構造とその動作| 一波長ループアンテナはループ面と垂直方向に指向性を持ち、利得はダイポールアンテナより大きい。偏波は上図の場合、水平偏波となる。~ これらの特性は、ダイポールアンテナをスタックしたと考えた場合と一致する。 なお、ループアンテナにはこのアンテナとは別に「磁気ループアンテナ」というものがある。 アンテナとしては別物なので注意が必要。 *** コーナリフレクタアンテナ [#lee55887] ダイポールアンテナの後方に折り曲げた平面導体を配したアンテナで、ダイポールアンテナから放射された電波が反射されるため、導体と反対方向に指向性を持ち、同時に利得が発生する。 反射器として、平面導体の替わりに導体棒の配列や導体網を用いる場合もある。 |CENTER:コーナリフレクタアンテナ| |&ref(CornerRef.png,,70%);| |CENTER:例:[[放送局本社>アンテナ入門/03_Broadcast#bsn-hq]]、[[テレビ中継局>アンテナ入門/03_Broadcast#tvsat]]、[[航空保安施設>アンテナ入門/02_Aviation#navigation]]| *** 八木・宇田アンテナ [#i2d2e4d8] 八木アンテナは半波長ダイポールアンテナの前後に、それぞれ導波器(director)、反射器(reflector)と呼ばれる導体棒を付加したものである。ダイポールアンテナは輻射器または放射器(radiator)と呼ばれる。 導波器は輻射器より5%ほど短かく、反射器は5%ほど長い。指向性は導波器方向に表れる。~ 導波器の数を増やすことによって、指向性を鋭くし利得を上げることができる。 八木・宇田アンテナのバリエーションとしては、反射器と導波器にコーナーリフレクタを使用したものや、全ての素子にループアンテナを使用したものなどがある。 |CENTER:八木・宇田アンテナ| |&ref(YagiUda.png,,70%);| |CENTER:REF:反射器、RAD:輻射器、DIR:導波器| |CENTER:例:[[コミュニティFM放送>アンテナ入門/03_Broadcast#commufm]]、[[テレビ視聴設備>アンテナ入門/03_Broadcast#tvrecv]]、[[防災無線>アンテナ入門/06_Misc#pubwarn]]| *** パラボラアンテナ [#x24a7e60] 遠方から到達した電波は放物面の導体で反射させると一点(焦点)に集中する。 また、焦点から電波を放射させた場合、波面は平面となり距離による減衰が少なくなる。 この原理を利用したのがパラボラアンテナで、焦点に設置するアンテナを一次輻射器と呼ぶ。 一次輻射器は、反射面に指向性を持たせたアンテナ(八木・宇田アンテナや電磁ホーンアンテナなど)がよく使用される。 パラボラアンテナは、反射面の面積が大きくなる程、指向性が鋭くなり利得も上昇する。~ また、複数の一次輻射器を取付けたり、特殊な形状の反射面を用いることで希望の指向性のパターンを得ることができる。 |CENTER:パラボラアンテナ| |&ref(Parabola.png,,70%);| |CENTER:例:[[INMARSAT衛星局>アンテナ入門/01_Maritime#inmar]]、[[テレビ視聴設備>アンテナ入門/03_Broadcast#tvrecv]]、[[宇宙通信>アンテナ入門/04_SpaceLink]]| *** 平面アンテナ等 [#l712989f] 逆Lアンテナの項で説明したように、携帯機器では回路基板に作り込めるアンテナが有用だが、マイクロストリップアンテナもその一種。~ このアンテナは、誘電体(絶縁物)の基板に回路パターンとしてアンテナを形成する。下図のように、アレイ構造とすることで高い利得を得ることもできる。 逆Fアンテナは、基本的な構造は逆Lアンテナに似ているが、素子端を接地し、素子の途中から給電することで整合を取りやすくしている。 |>|CENTER:平面アンテナ等| |&ref(MicroStrip.png,,50%);|&ref(InvertedF.png,,50%);| |CENTER:マイクロストリップアンテナ&br;&color(#00b0b0){■};:誘電体、&color(gold){■};素子、&color(#803000){■};:接地面|CENTER:逆Fアンテナ&br;接地部と給電部の間隔により整合させる| *** 共振型以外のアンテナ [#uad389c3] これまで説明したアンテナは全てダイポールアンテナを基本とする共振型アンテナだが、他には別の原理で動作し、共振を用いないアンテナもある。 それらのアンテナについて、以下にかいつまんで説明する。 -磁気アンテナ~ 磁気誘導により電波を受信するコイル状のアンテナ。動作としては、発電機やダイナミックマイク、ピックアップコイルなどに近い。~ 波長に依存せず動作するためサイズを小さくできるが、損失が多い(利得が低い)ので、受信で使われることが多い。 --磁気ループアンテナ 例:[[方向探知用アンテナ>アンテナ入門/01_Maritime#rdf]] --フェライトバーアンテナ ... 磁気ループアンテナを更に小型化したもの。AMラジオや電波時計の内蔵アンテナとして利用 -導波管アンテナ~ 導波管から直接電波を放射するために用いるアンテナ。導波管を使用するマイクロ波帯(3GHz〜30GHz)で用いられる。 --電磁ホーン 例:[[パラボラ一次輻射器>アンテナ入門/02_Aviation#psrssr]] --導波管スロットアレイアンテナ 例:[[船舶用レーダ>アンテナ入門/01_Maritime#radar]] -進行波アンテナ 素子上に進行波を乗せることで動作させるアンテナ(共振型アンテナでは進行波ではなく、定在波を乗せる)。~ ~ 共振現象を利用しないので、帯域幅が広い。 また、構造がシンプルだが指向性が鋭く高い利得が得られる。~ 反面、動作するには数波長ぶんの素子長が必要なため、広い設置面積を必要とする。 --ビバレージアンテナ --ロンビックアンテナ --ヘリカルアンテナ ** アンテナギャラリー [#se55011c] 説明に使用したアンテナの写真集 #ls2()