歴史 †
年代 | 陸上/有線 | 海上・上空/無線 | 電気通信以前 | | Optical Telegraphy | | 狼煙 、 石川県珠洲市狼煙町 → 交通の要所で地名に残る | 18C | 旗振り通信(日本・江戸時代中期〜) 米相場等の伝達に使用 ... 記録では 大阪〜広島 27分 | 18C-19C中 | 腕木通信(ヨーロッパ・18C末〜19C中) 総延長5800km / 550km/8分 | 電気通信(モールス以前) | 18C初頭 | Cooke, Wheatstone による電信システムなど   | 実用期 | 1837 | Samuel Morse, Alfred Vailによるモールス符号と通信システムの発明 ・符号とシステムの大部分はVailが考案(Morseは画家、Vailは技術者) ・符号は現在使われているものとは一部を除き異っていた。 | 1857 | 太平洋横断海底ケーブル敷設  | | 1864 | | Maxwellによる電磁現象の定式化 | 1865 | International Morse Code(後述) 制定 | 1887 | | Hertzによる電波の発見 | 1894 | | Marconiによる無線電信機の発明 | 1912 | | Titanic号海難事故  ・当時は船ごとに特定の無線会社の機器でオペレータもその社の者が執務していた。 ・そのため、無線会社の異なる船間での連絡が遅れ、救助も遅れた。 | | | 国際会議でSOLAS条約 (international convention for Safety Of Life At Sea, 海上における人命の安全条約) が発効され、無線設備設置の義務付け、遭難通信の聴取義務などが決定される
 無線室で使用される時計。15-18,45-48分は呼出波の発射禁止と遭難通信の聴取が義務付けられている。
SOSの実際の受信音 | 1930頃〜 | 印刷電信(テレプリンタ)など、送受信方法の自動化 | | 1970 | | 電電銚子無線局(JCS), 取扱量のピーク: 132.4万通/年  1974年夏、ヨーロッパでの呼出し・非常通信用周波数(500kHz)の様子 | 終焉 | 1999 | | GMDSS施行、無線電信の義務付け廃止  | 2004 | International Morse Codeに「@」の符号「・−−・−・」が追加される | 現在 | 祝電・弔電など | 航法ビーコン NDB.mp3 や標準電波のID jjyid2.mp3 として利用、アマチュア用途など |
しくみ †
符号構成 †
- 信号の有/無で区別する。信号の有る状態には短点と長点がある
 | 短点の長さを1とすると、 長点は3 文字を構成する空白は1 文字間の空白は3 単語間の空白は7(欧文のみ) |
- 上記はあくまでも規定。実際には人間がエンコード/デコードするのでかなり寛容
- 了解度を上げるために長点/短点の比率を長めにとる場合などもある
- 符号表
欧文 | 和文 | 符号 | | 欧文 | 和文 | 符号 | | 欧文 | 和文 | 符号 | | 欧文 | 和文 | 符号 | A | イ | ・− | | | ソ | −−−・ | | | テ | ・−・−− | | ? | | ・・−−・・ | | ロ | ・−・− | | P | ツ | ・−−・ | | | ア | −−・−− | | ! | | −・−・−− | B | ハ | −・・・ | | Q | ネ | −−・− | | | サ | −・−・− | | − | | −・・・・− | C | ニ | −・−・ | | R | ナ | ・−・ | | | キ | −・−・・ | | @ | | ・−−・−・ | D | ホ | −・・ | | S | ラ | ・・・ | | | ユ | −・・−− | | ) | ( | −・−−・− | E | ヘ | ・ | | T | ム | − | | = | メ | −・・・− | | ″ | ) | ・−・・−・ | | ト | ・・−・・ | | U | ウ | ・・− | | | ミ | ・・−・− | | 1 | ・−−−− | F | チ | ・・−・ | | | ヰ | ・−・・− | | | シ | −−・−・ | | 2 | ・・−−− | G | リ | −−・ | | | ノ | ・・−− | | | ヱ | ・−−・・ | | 3 | ・・・−− | H | ヌ | ・・・・ | | | オ | ・−・・・ | | | ヒ | −−・・− | | 4 | ・・・・− | ( | ル | −・−−・ | | V | ク | ・・・− | | / | モ | −・・−・ | | 5 | ・・・・・ | J | ヲ | ・−−− | | W | ヤ | ・−− | | | セ | ・−−−・ | | 6 | −・・・・ | K | ワ | −・− | | X | マ | −・・− | | | ス | −−−・− | | 7 | −−・・・ | L | カ | ・−・・ | | Y | ケ | −・−− | | + | ン | ・−・−・ | | 8 | −−−・・ | M | ヨ | −− | | Z | フ | −−・・ | | I | ゛ | ・・ | | 9 | −−−−・ | N | タ | −・ | | | コ | −−−− | | . | | ・−・−・− | | 0 | −−−−− | O | レ | −−− | | | エ | −・−−− | | , | | −−・・−− | | |
- 欧文 ... 英語平文におけるアルファベット出現確率を考慮(頻出する文字ほど短い符号)
- 和文 ... アルファベットをイロハにマッピング+所々符号追加 ... 出現確率は考慮されていない
- 速度
- WPM (Words Per Minute) 単語「PARIS」を一分間に送れる回数で定義
 | 「PARIS」+語間隔で50短点 |
- 日本ではCPM (Characters Per Minutes)がよく使われる
CPM = 5 * WPM
略語 †
- 文字数を少なくするために、略語が使用される
- Q符号 ... ITU-R RRにて QOA〜QUZ を略語として定義している
Q符号の使用例 | 問い | 応え | QTC? | そちらには,送信する電報が何通ありますか | QTC 2 | こちらには,そちらへの電報が 2通あります | QTC NO | こちらには,そちらへの 電報はありません | QSW 472 ? | そちらは472(kHz)で送信してくれませんか | QSW 472 | こちらは472(kHz)で 送信します |
- Z略語 ... 固定局間の通信や回線設定などで使用される。
- 一般略語 ... 一般の英単語などの綴りを短くしたもの。インターネット上の電子メールやチャットなどに名残りを残しているものもある。
- CU ... see you
- MSG ... message
- NW ... now
- PSE ... please
- TXT ... text
- B4 ... before
- TKS (TNX) ... thanks など
デバイス †
火花送信機 | 回転機 | 真空管/トランジスタ |  |  |  | 依佐美送信所 (愛知県刈谷市) | 練習船 日本丸 | 火花放電による雑音電波を断続 | 高周波発電機を使用 | 電子回路で発振・増幅を行う |
- 電鍵
縦振電鍵 | 復式電鍵 | 半自動電鍵 |  |  |  | 縦方向の動きで回路を開閉 | 開閉操作を横方向に行う ・振動に強い ・移動体で使用 | 錘付きの振り子で短点を発生 |
エレクトロニックキーヤー | 自動送出機 |  |  | 電子回路による開閉 | 定形メッセージの送出用 |
参照資料 †
- Wikipedia/ja,en (電信、無線電信、モールス符号 など)
- サイバネティクスへの認識 (原題: Symbols, Signals and Noise)
J.R. Pierce著, 鎮目恭夫訳, 白揚社
- この勉強会で実演に使用したモールス信号発生装置 (ラズパイ使用)
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